冬の西穂2011年12月
冬山は、そのときの状況によって様子が全く異なります。
今回は、ニュースでも報じられるほどの記録的な豪雪の直後に登り、かつワカンやスノーシューといった装備をもたず、つぼ足で大量に降り積もった登山道をラッセルしましたので、ロープウェイから山荘まで実に7時間近くの時間がかかってしまいました。
また、途中から山荘より遭対協の方が出動され大変迷惑をかけてしまいました。
未熟さを反省して、翌日は稜線に出ずにそのまま下山しました。
12時28分
平湯温泉に到着。ここからいつものように路線バスに乗り換えて行きます。
とにかくすごい雪の量ですね。穂高近辺はニュースで報じられたほど豪雪ではなかったようですが、それでもこの雪の量ははんぱないです。平湯温泉でこの雪の量ですから、西穂の登山道はそうとうなものだろうと予想します。
14時28分
ロープウェイの終点に到着します。
そして外に出てみると・・・前回とはまるで別世界のようになっていました。
とにかく雪の量がすごいです。あり得ないくらいの量です。
驚いていてもしょうがいないので、アイゼンなど必要な装備をして先へ行く事にします。
14時34分
歩き始めてすぐ気付いたのは、雪が深いという事。
スボッとはまってしまいます。そう、降ったばかりなのであまり人が通っていないんですよね。
少し進んだところで、「これはだめだ」って言って引返してきた方とすれ違います。あまりにも雪が深くてあきらめたようです。
さて、私はどうするか? 考えました。とにかくワカンなどは持っていません。ロープウェイのスタッフにワカンとか持っていないなら(登るのは)止めた方が良いと言われています。
結果として、時間がかかっても良いから登ろうと判断しました。
この判断が今回のアクシデントを招く結果となったのですが・・・
15時07分
写真は、登山道の途中にある避難小屋のような建物です。今は使われておらず建物だけが残っているようです。
本来はもっと右の方に道があるのですが、雪で完全に埋まっていて、すこしでも雪が少ない避難小屋の壁際を歩いて行っている様子がうかがえます。
それだけ雪が深いということです。
先月来たときとはまるで様子が違うのにびっくりです。
15時48分
相変わらず雪が深い中を進んでいますので、時間がかかります。
ここで、最後の選択に迫られます。
引返すか、登るか。
ロープウェイの時間の関係上、引返すなら今しかありません。
結局、ここまで来たのなら先へ行こうということにしました。
トレースがついていたので、何とかなるだろうと予想したのです。
が、しかし、このトレースの正体がしばらくするとわかりました。
実は、わたしの先を同じくワカンなしで進んでいた方がおり、その方が残していたトレースだったんです。従ってその方から先は大雪が降ってからだれも通った事のない新雪をラッセルしながら進まなければならないという現実に突きつけられたのです。
結局、2人で先頭を交代しながらラッセルして進みます。
雪が深いところは胸のあたりまで沈んでしまい、かなり体力的にキツクなります。
山荘に近づくにつれ斜度がきつくなり、余計に進むのに困難を覚えます。唯一救いだったのが携帯電話で山荘の方と連絡しながら進んでいた事でした。
徐々に周りが暗くなり始め、ヘッドライトを付け、予備で持っていた懐中電灯で進行方向を確認しながら雪と格闘しながら進みます。周囲は真っ暗なのでヘッドライトだけではどちらに進んで行けば良いか確認できなかったのです。
時間が経ち19時過ぎについに山荘のスタッフ(遭対協)が動きだし、山荘から我々を迎えに降りてきました。
20時前に山荘スタッフのヘッドライトと声を確認。「お〜い」「ここで〜す」と声を張り上げ、まもなく合流します。合流してからはスタッフの方に荷物を持っていただき、山荘まで共に登って行きます。
山荘に到着したのは21時前でした。ご迷惑おかけした事を丁重にお詫びします。
軽食を食べ、顛末を簡単に報告し、すぐに就寝しました。
07時13分
翌朝です。
右下に映っている看板が雪で埋まっています。それだけ積雪があるということです。
今回は反省すべき点が沢山ありますので、反省の意をこめて稜線には出ずにそのまま下山する事にします。
08時33分
下山を開始します。
山荘には何組かの登山者がいましたが先に下山していきます。恐らくは昨日は皆動かなかったのでしょう。
先に下山して行った方がトレースを付けていってますので、昨日とは比べ物にならないほど楽に下りて行けます。
09時12分
今朝はちゃんとした道が出来ていますが、昨日は右側の雪が左の木のあたりまで張り出していて、これを崩しながら進んで行ったんです。我ながらよく登ってきたなとあらためて感激します。
09時15分
何度も書きますが、トレースがあるのとないのではまるで違います。
たった数組が通っただけですが、はっきりとしたトレースができており楽に歩けます。
09時19分
こうやって見てみると先月に来た時とはまるで様子がちがいますね。
先月はまだ、雪が少なくて岩や笹とかが見えていたのですが、もう全てが雪の下になっています。
一ヶ月もしないうちにここまで様子が違ってしまうというのは正直びっくりです。
09時31分
場所によっては、雪が相当深くて、足が埋まってしまうところもあります。
まだ、下山だからいいんです。昨日はこれを登って行ったんですから7時間もかかるわけですよね。
10時07分
だいぶ下りてきました。あともう少しです。
今回は自分の未熟さ故に反省する点が多いです。
大雪が降った直後のトレースがない状態の登山道を登ることが何を意味しているか理解していなかったこと。
雪が降ったばかりでラッセルが必至であるのにワカンを用意していなかった。かつその状態で登ってしまった。
等々・・・
雪山の恐ろしさというものを改めて感じました。
まだまだ、正規のルートから外れずに登れたから幸いです。写真にも写っていますが登山道に沿って目印となる蛍光色の小さい旗が立てられているので、それを便りに登って行けたのですが、もし、何らかの理由で見落としてしまいルートから外れてしまったら、確実に遭難していたでしょう。
遭対協の方が言っていましたが、もう少し上の方まで登ってきていると思ったようです。合流したのは想定より下の方だったとの事。もっと下の方だったら警察扱いにする予定だったとか。正規ルートから外れている可能性も考えたのでしょう。
今回の登山が終わったら、早速、ショップに行ってワカンを買いました。
次から、天候やルート上の雪の状態などよく情報収集したうえで登るようにしたいと思います。
今回の教訓を糧にして次回以降の冬山登山を慎重に楽しみたいと思います。
2011年12月26日
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