檜洞丸2017年11月3日
週末をピンポイントで狙ってくる台風のため、一年でもっとも快適に登山できる秋の登山が中止に追い込まれた2017年。それでも晴天率が高い文化の日の今日は見事に秋晴れとなってくれました。天気も直前になって好天に変わったため迷わず山へ。条件が良ければ穂高涸沢を予定していましたがすでにスリーシーズンの装備では困難な状態(中途半端な積雪の状態は通常の雪山より危険です)なので日帰り登山に変更しました。
定番の西丹沢の檜洞丸です。
06時02分
どこの登山口でもそうですが、時間が遅くなればなるほど駐車スペースはなくなります。西丹沢ビジターセンター(旧自然教室)も施設の駐車場は6台くらい、向かい側のスペースに実質30台くらいの駐車スペースがありますが、いつもスペースはいっぱいになってしまいます。今日は連休初日ということもあり朝5時の暗いうちに駐車場に到着。すでに2台が止まっていました。日の出は6時過ぎなのでそれまでは仮眠をした上で出発の準備をします。
06時04分
さて、いつものスポットから見上げてみると、想像以上に紅葉が進んでいるような印象があります。10月初めにも来たのですが、その時はまだ色は付いておらず、まだまだと思ったのですが、11月にもなると季節が急に進むのですね。
結局は登山口近辺の標高はまだまだ、中腹辺りが見頃、稜線はすでに枯れている(落葉している)といった状態でした。
06時29分
枯葉が地面を覆っています。秋の登山の雰囲気が出ていますね。
この近辺の葉っぱはまだ色づいていませんが、それも時間の問題でしょう。駐車していた車の台数からして先行者はいないかなと思っていたのですが(全ての登山者が檜洞丸に行くわけでないから)、遥か先に動く姿が確認できたので誰かが先に行っているというのがわかりました。
熊出没注意の看板が相変わらず設置されていますので一応周囲を警戒しながら歩きます。ここら辺のクマは冬眠するのでしょうか?するとしてもまだまだ先なのでしょうか?
06時47分
30分くらいでゴーラ沢出合に到着します。
さて、過日の台風の影響で山全体が水分を多量に含んでいるためと思われますが、沢の水量が非常に多く渡渉が困難です。通常でしたら水面から出ている岩をバランスよく乗り越えていくのですが、水量が多いため岩は全て水没しています。少し上流へ行くと渡れそうな場所があったので(ここから上流に行くこと自体困難ですが)そこまで移動してから渡ります。
もちろん沢が濁流になっている場合はその時点で中止、引き返すべきであることはいうまでもありません。
07時25分
ゴーラ沢出合をすぎて本格的な登りを詰めて行くと、いつの間にか周囲は紅葉した木々で覆われるようになりました。冒頭でも書きましたが今回は中腹が紅葉の見頃となっていました。ちょうど今いる辺りですね。
ところでゴーラ沢を過ぎてしばらく登ったところで頭上からバスケットボールほどの大きさの岩が突然落下して来ました。自分のザックに当たって落ちていきましたが、これが後20センチもずれていたらおそらく頭部を直撃していたことでしょう。ゾッとします。やはり連続した台風の影響で登山道自体が安定していないのかもしれません。穂高連邦のような岩峰帯では当然のようにヘルメットをしますが、落石というのは場所や標高を選ばないんだということを改めて実感しました。
07時35分
展望園地到着。
富士山の姿が味わえます。まだまだ道半ばですがここで休憩をします。水分補給をしたり靴紐を締め直したり。
いわゆるツツジ新道はここから先が急登になりますので体を休めます。ですが11月始めですのでさすがに停滞していると冷えてくるので長居は無用。頃合いを見計らって出発します。
08時08分
ツツジ新道の中でも高低差の激しい部分です。場所によってはきちんと3点確保しなければ登れない部分もあります。丹沢だからと言ってナメてかかってはいけません。場所によっては穂高の稜線並みの難度の部分もあります。西丹沢ビジターセンターは標高540m、目指す檜洞丸は標高1601mですから約1000mの高低差を一気に上がることになります。当然体力や筋力も必要です。山頂から先は高度感のあるヤセ尾根の連続になります。
だからこそ私はあらゆる要素が凝縮されたこのルートを日常的なトレーニングに選んでいるわけです。
08時20分
ここまでくると地図の等高線でも緩やかになる部分に差し掛かります。
ここから先は木製の階段や植生保護のための木道が多く設置されていて違う意味で疲れますが技術的に困難な部分はありません。
ベンチに2、3分腰掛けましたがすぐに頂上に向けて出発します。
08時31分
しばらく登って行くと右側が急にひらけて富士山の絶景スポットが出て来ます。ほんの一瞬だけなので(通り過ぎると再び木が邪魔になってしまう)注意した方がいいです。ここだ!と思ったらすかさず撮影した方がいいです(笑)。
今日は文句なしのロケーションです。完璧な青空。富士山自体は一度初冠雪したものの融雪してしまいましたので、白く雪をまとった姿はもう少し先になるでしょうか。
08時41分
植生保護のために設置された木道が続きます。微妙に歩幅が合わないのでちょっとだけ苦労する部分です。今日は日が当たって木道もだいぶ乾いています。これが露などで濡れていると滑りやすく転倒の原因にもなるので注意しなければなりません。
この時期になると西丹沢は登山者の数もだいぶ減ります。春先などはかなりの数の登山者と出会いますので右側を行くか左側を行くかお互いに確認しなければなりませんが、この時期はその必要もありません。
08時45分
頂上手前部分です。
標高にすれば1600m程度でしょうか。この部分はすでに紅葉が終わって落葉しています。もしかしたら2回の台風の影響で葉が落とされてしまったのかもしれません。何れにしても初冬のような景色になっています。
手元のアプルウォッチが現時点の運動量が通常の300%を超えたと通知して来ました。最終的には400%超えましたが、これだけ運動しても11月上旬で標高1600mの稜線ですから不快感がありません。心地よい疲れというやつですね。
08時48分
現在檜洞丸(ツツジ新道)は登山道の補修作業中です。
写真の部分はそっくり新しい階段になっていて、まだ新しい木の香りが漂っていました。登山道も定期的な補修作業が欠かせませんね。
新たに整備された道をありがたく登っていきます。
08時52分
檜洞丸登頂。
登山口から約2時間40分。
山頂自体は眺めはありませんが、少し移動するとひらけた場所があり絶景を楽しむことができます。西丹沢は全体的に木で覆われていて暗い印象がありますが、場所によっては明るく開けた部分があり西丹沢ならではの緑の深さを味わうことができます。
その、ひらけた場所からの眺めです。
まずは富士山。そして手前の山々も紅葉が進んでいるというのがよくわかります。
ちなみに本日は檜洞丸山頂からダイヤモンド富士が見られたとのことで、西丹沢ビジターセンターの公式HPに登山者撮影の画像がアップされていました。そういえばツツジ新道で下山者とすれ違い「なんでこんな時間に?」と思ったのですが、もしかして撮影者はあのすれ違った人達かな??
そして遠くには南アルプスが見えます。写真では少し霞んでいるように見えますが実際はかなりくっきりと見えていました。北アルプスはすでに雪が積もっているようですが、南の方は見た感じはまだのようですね。
奥秩父方面もよく見えています。
はるかかなたには方面的におそらくは北アルプスだろうと思われますが、山影が見えています。
大室山方面です。紅葉ラインと枯れて落葉しているラインが微妙です。
09時11分
さて、檜洞丸から犬越路方面に向かうと最初は眺めが良くて気持ちの良い稜線が続きます。私がこのルートの中で一番好きな部分です。富士山を中心とした素晴らしい眺めと西丹沢ならではの緑の深さ、そしてこの時期ならではの哀愁漂う・・・というか晩秋の風景。最高ですね。
ですが、しばらく進んで地図でいう小笄の近辺まで来ると一変してヤセ尾根の連続になります。足元はザレており非常に不安定で高度感もあります。鎖が設置されている部分もあります。足を引っ掛けて転倒すると取り返しがつかない場所も多数ありますので慎重に行動した方が良いです。
10時55分
犬越路到着。
ここは十字路になってます。檜洞丸方面、大室山方面、用木沢(西丹沢ビジターセンター)方面、神ノ川方面にそれぞれ行くことができます。
頑張れば大室山まで行けるかもしれませんが、さすがに今日は用木沢へ下山していきます。
用木沢へのルートは枯沢をなぞって行くので基本はザレ場の下りになります。ちょっとしたはずみで滑ったり落石させたりするので慎重にならなければなりませんが、この時期は加えて落ち葉で覆われているので隠れていた石車に乗って転倒したなんてことも無い話ではありませんから余計慎重になります。
最終的には沢に合流し、用木沢出合までは沢筋を歩いていきます。
11時47分
用木沢は何箇所か渡渉があります。
普段は木橋がかけられており足を濡らすことなく渡れるのですが、2度の台風直撃の影響で木橋は流されていました。普段より水量は多いものの水かさは膝程度ですのでガチで渡渉しても良いのですが、なんとか岩を飛び越えていけば渡れそうなのでジャンプしながら渡りました。決して良い対応とは言えませんがおかげさまで足を濡らすことなく全ての渡渉部分をクリアできました。
というわけで無事に檜洞丸を登ることができました。
もう少し日にちが経てば紅葉が沢筋の部分まで降りて来て、また別の美しさを味わえると思います。
お読みいただきありがとうございました。
2017年11月3日
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