秋の穂高・涸沢2017(第2部)
二日目の行程は北穂高岳の往復。
行程自体は全く問題ないのですが、登山開始と同時に出現し始めた雲が最終的には穂高連邦全体を覆ってしまうような事態に。
しかし、粘りに粘り、最後には北穂高岳山頂の青空を勝ち得たのでした。
08時03分
先ほどから1時間もたっていないのですが、北穂高岳方面は雲で覆われてしまいました。ただし、気圧配置などから大きな崩れにはならないと見込んでいますし、前穂高岳方面は引き続き雲ひとつない快晴ですのでそのまま登っていきます。
08時10分
北穂高岳の登山口は涸沢小屋のヘリポート横になります。
いきなりの直登になりますので、自分が想定しているよりも一段ペースを落として登るのが良いと思います。まだまだ先は長いです。一枚岩の直登など難所も控えています。高度もすでに2,300m超えていますので今回もゆっくり登っていきます。
08時16分
登り始めの部分は随分と整備がされていました。
そういえば涸沢から北穂高岳に登るのは2年ぶりです。今年の夏は雨だったため北穂高岳から涸沢岳の縦走を取りやめており久々の登山となりました。
08時44分
至る所で崩落があったのだというのがわかります。
登山道の整備も大変なんだなと思わせられます。写真の箇所も気をぬくと大変なことになるので指示されている通りのルートを登っていきます。
08時56分
登山道を登っていると突然岩壁が現れます。そんなに高低差はないし足をかけるところもたくさんあるのでよく見て登れば問題ありません。
初めて北穂高岳に登ったとき(穂高デビューだったのですが)、まさかこの岩を登っていくとは思わなかったので、最初登山道が途中でなくなってしまったと思い途方に暮れたことがありました。
懐かしいですね・・・
08時59分
振り返って涸沢を見下ろします。もう、あんなに小さくなってしまいました。
ちょうど涸沢を境に紅葉がピークになっているように見えます。テント場のテントも色とりどりで綺麗なのですが、この時期は紅葉の方がインパクトあるのでテントのカラフルさが一歩引けて見えます。
09時27分
さて、難所である一枚岩まできました。岩場の直登に慣れていないとかなり手こずる場所です。
さすがに穂高の一般登山道だけあって足場が切ってあったり、アンカーボルトが打ち込んであったりと十分に整備されています。鎖を頼りに登っていきます。
このような場所なので、渋滞発生地点でもあります。最盛期はツアー団体も登りますので結構混乱します。
09時38分
一枚岩を登り終えるとほぼ中盤になります。高度も上がってくるので見える景色が違ってきます。
ここからは常念岳から蝶ケ岳の稜線、そして遥か先には八ヶ岳が見えています。蝶ケ
岳から常念岳を往復したのはもう3年前になるでしょうか。結局10時間近くかかってしまい散々な思いをしましたが、それはそれで良い経験になりました。
手前右には屏風の頭も見えています。屏風の頭付近を通っていくパノラマコースもそのうち歩いて見たいなと思います。
10時17分
一枚岩を過ぎると登山道は完全に岩登りになります。
涸沢の標高は約2,300m。北穂高岳は3,106mですから約800mの高低差を一気に上がることになります。なので分かってはいてもキツイです。
比較的登山者が多いので、「ああ、あんなところを登っていくのか」という感じでどこへいくかがわかります。
10時23分
場所によっては鎖を頼りに上り下りする場所もあります。
幸い大キレットのように高度感がある中での鎖ではありませんので、落ち着いてゆっくりと取り付くことができます。
登っているうちに雲が晴れてくれるのを期待していたのですが、恐らく上昇気流による雲だと思われるので、であれば今日は槍ヶ岳の眺めは諦めるしかないかなと残念な予想をして見たりします。
10時45分
北穂高岳のテント場に到着しました。このテント場は小屋から20分程離れています。なので頂上まであと20分くらいというのがわかります。
完全に雲の中に入ったようで、視界も効かなくなってしまいました。
すでに標高はほぼ3,000mなので、通常の動きでも息が上がりやすくなっています。疲れも出ているでしょう。はやる気持ちを抑えつつ慎重に頂上に向けて登っていきます。
10時53分
北穂分岐に到着です。
目指す北穂頂上は当然ですが北穂高岳方面へ行きます。
あまり知られていないのかもしれませんが北穂高岳は双耳峰です。つまり北穂高岳は頂上が二つあります。山小屋がある側で一般的に頂上とされているのが北峰です。隣の南峰はここから奥穂高岳方面に分岐していくとたどり着くことができます。ちなみに南峰は道標すらなく全くの未整備、自然のままの状態です。
11時06分
北穂高岳登頂。
本来なら大キレットとその先にそびえる槍ヶ岳の姿が見えるはずです。
が、今日は視界がありません。とりあえずは小屋に行って一息つくことにします。
北穂高小屋のテラスでビールを飲むというのをずっと楽しみにしていたので、たとえ視界がなくて何も見えなくてもジョッキ生を飲むことにします。体そのものはここまでの登りでヒートアップしていますのでビールが美味しいです。
ただ、陽の光もないので徐々に冷えてきます。小屋の中に入りコーヒーや軽食を食べることにしました。
体が温まったところで、涸沢に下山することにします。
早朝は雲ひとつない完璧な秋空だったのですが山頂では視界なし。これも自然の脅威ということでしょうか。ま、これが最後というわけではありませんし、次回に期待することにしましょう。
涸沢まで降りることにします。
下りは登りよりも慎重にならないといけません。あの穂高の登山道ですから。
と、普通ならここで終わるのですが・・・
今回は、ここで終わらなかったのです。
テント場まで降りてきた時でした。陽の光が当たるようになったので、空を見上げると何ということでしょう、今まで全く視界がなかったのに青空が広がっているではありませんか。
皆で考えます、というかほとんど考えませんでした・・・
どうする?
戻る?
後悔するくらいなら例えダメでも戻ってみるでしょ!
もはや選択肢はなし。次の瞬間、頂上へ登り返していました。
先ほどまで視界がなかった槍ヶ岳方面は、大キレットが見えるようになっていました。
しばらく待っていると見る見るうちに雲が晴れてきました。
槍ヶ岳まであともう少しです。
ところが、あともうちょっとということころで手前の滝谷からガスが湧いてきたりと、なかなか槍はその姿を見せてくれません。
粘ります。
寒いですが、日が当たるようになってきたので何とか停滞してチャンスを伺うことができます。
そして、ついに・・・
13時33分
粘りに粘りついに槍ヶ岳と大キレットを含む稜線が姿を表しました。
まるで覆われていた雲が晴れてラピュタが姿を見せたような気分です。よくわからないですが・・・
後で聞いたのですが、この時は穂高連邦の部分だけ雲がかかっていたそうです。
槍が姿を見せたのは一瞬で、その後はまた厚い雲に覆われてしまいました。
せっかくなので、もう一度小屋のテラスでビールを飲みます。
今度は本当に涸沢まで下山します。
涸沢小屋まで降りるとホッとします。登頂祝いをしてからテントで晩御飯を調理します。テントは今朝と比べるとびっくりするほど増えていました。
しばらく飲んだり食べたり会話が弾んだりしていましたが、さすがに体が冷えてきたので早めに就寝します。
翌朝は雲がかかっていてベストなコンディションではありませんでしたが、上高地近くまで来ると再び真っ青な秋の空が戻ってきました。
予想はしていましたが、横尾まで下山する途中で仰天するほどの登山者や紅葉ツアーの人とすれ違いました。先に降りている人が上手にすれ違うことができないので渋滞が発生してしまう始末。
やっぱりこの時期下山は岳沢かパノラマコースが良いと思いました。
2017年の秋の穂高・涸沢
初日は荒天でしたが、2、3日目は天候に恵まれ最高の紅葉を楽しむことができました。さて、山はいよいよ冬になろうとしています。
穂高の峰々が白くなろうとしています。
2017年9月28日〜30日
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