秋の穂高・涸沢2016(第1部)
2016年の秋は天候に恵まれず。
通常この時期でしたら天候も安定して穂高・涸沢は秋のひんやりした空気を楽しめるのですが、今年な夏の延長線といった感じて不安定。
その中でも2日目は概ね天気に恵まれ紅葉を楽しむことができました。
それでも最終日は天候は最悪で当初の予定を変更して涸沢より下山してきました。
07時52分
朝の3時頃に沢渡の駐車場に到着したのですが雨が降り続いていて、どうなるだろうと思いながら仮眠していました。出発予定の6時になっても雨は降りやまず。少し様子を見ることにしましたが状況は変わらないので、レインウェアを着て出発します。
河童橋から眺める景色は霧で何も見えません。
今回は初めての雨の出発です。久々にテント一式を担いでいますので余計に重たく感じます。少しでも天候が回復することを願いながら歩き始めます。
レインウェアはGore-Texではありますが、それでも蒸れてしまいます。これがコンビニで売っているようなビニールのウェアだったらどうなってしまうんだろうと、ぞっとします。
10時20分
横尾に到着。
横尾は登山の出発点です。今日もたくさんの登山者で賑わっています。それもそのはず情報によれば涸沢の紅葉は今週末が一番の見頃だとのこと。純粋に登山をしに来ている登山者に加え紅葉を観に来るツアーの団体の人々で入り乱れています。
雨はだいぶ小降りになってきていて気にならない程度でしたので、外で朝食のおにぎりを食べます。
10時36分
穂高にいくために必ずこの横尾大橋を渡っていきます。ここが登山口と言ってもいいでしょう。
さて、今日は橋の入り口のところになにやら看板が掛けられています。なんだか物々しい雰囲気でした。「さては通行止めか!」と一瞬びっくりしましたが、上から登山者がどんどん降りてくるし、こちらからもどんどん登っていくし、でよく見ると「涸沢方面出水土砂崩落箇所あり」という警告でした。
気が狂うくらい雨が続いていますからだいぶ登山道のコンディションも悪いんだろうなと想像します。
10時56分
屏風岩がなんだか幻想的というか、すごい場所のように見えます。
こんな気象条件は初めてなので何だか魅力的ですね。この時間は霧がまだこの位置にありましたが、最終的には稜線まで上がってきていました。
事前に調べた気象情報では明日が期待できるような天気になっていましたが実際はどうなのでしょうか。この時点では全くわかりませんでした。
11時23分
ここはまだ本谷橋の手前なのですが、木々が少しづつ色づき始めています。
ずいぶん低域から色がついてるんだなという感じです。この近辺が見頃になるのは連休前後でしょうか?わかりませんが。
沢の水量がなんとなく多いような気がします。
11時32分
本谷橋に到着。
今日は本当に人が多いです。本谷橋の両岸に大勢の人が休憩しています。
この頃になると雨はほとんど止んでいました。私はとにかく蒸し暑いのが大嫌いなので、レインウェアは脱ぐことにしました。
本来この時期は湿度が少なくて快適なのですが、今日は湿気が多くレインウェアの機能の限界を突破しているので不快感マックスです。夏に来た時よりも不快です。
大勢の人が休憩している中、なんとかスペースを見つけて座って休憩します。さすがに9月末なのでレインウェアを脱いで夏用の登山シャツ1枚になって停滞していると冷えてきます。冷え切らないうちに出発することにします。
12時19分
だいぶ霧が晴れてきて遠くの景色が見えるようになってきました。
本谷が見えます。うっすらとですが、上の方は紅葉が綺麗になっているような気がします。
これは涸沢も期待できるのでは? なんて思いますが、天気がこれじゃあな・・・
さあ、ここまでくれば半分過ぎたところです。
テント一式の入った重たいザックを担いで必死に登っていきます。抜いたり抜かれたりしながら進んでいきます。
13時02分
さて、ここまで登ってくるとあと少しです。だいぶキツくなっています。周りの人たちもペースが極端に落ちているのがわかります。
水量が多いので普段休める場所が水没しています。
ちょっとしたスペースを見つけてザックを下ろして短時間の休憩をします。やはり久しぶりのテントは体に応えます。
13時45分
涸沢到着。
そして、ショックな光景。
「涸沢の万年雪が消えている」
こんなの初めてです。
紅葉よりもまず万年雪がないのにびっくりしました。雪が少ないというのがこんなところにも影響してきているわけですね。
そして紅葉はと言うと、ご覧の通り。
若干ピークにはまだ早い感じはしますが十分見ごたえがあります。今日は木曜日。ピークは今週末ではないかと言われています。ただ今週末は天候が全く期待できないですね。
まずは綺麗な紅葉をしばらく眺めます。
さて、マイホームを建築しました。
テントではありますが夕食は小屋の夕食をいただきます。本来なら小屋泊まりなのですが、この時期は紅葉ツアーで団体が多く入る関係で小屋の集客率がとんでもないことになってしまいます。
今年はそれを見越してテントだけ用意し食事は小屋の食事をいただくことにしました。炊事道具や食材を省くことができるのでだいぶ軽量化できました。
テントは自然を感じることができ自分的には好きです。ただ重量が重くなるのが難点です。それでも1年ぶりのテントはやはりいいものです。しばらくテントの中で仮眠します。夕食は17時からとのことですので、間に合うように小屋へいきます。今夜の涸沢小屋の夕食は複数ロテーションにするようですので、やはり宿泊者数が多いのだと思います。
さて、夜になって空を見上げてみると満天の星空でした。
どうやら天気が急速に回復しているようです。ということは明日は期待できるかもしれません。確かに予報では晴れのマークがついていたので明日に期待しながらテントの中でシェラフに包まれながら就寝します。
05時41分
翌朝、起きて外をみると青空が広がっていました。
正直な話、今回はあまり期待していなかったので想像以上の天候に少しびっくりしてしまいました。
そしてしばらく待っていると朝日が昇り、穂高の峰々が真っ赤に燃えがあります。モルゲンロートです。やはりこの時期の方が綺麗な赤になるようですね。しばらく自然の脅威を眺めます。
さて、今日の行程はいつもと同じで稜線に上がるだけですので(後ほど変更しましたが)、特に急ぐ必要はありません。なのでもう少し寝ることにします。
08時28分
今年もこの絵が撮れました。
真っ青な秋空に紅葉した木々。ピークには若干早いのかもしれませんが、後から考えるとこれだけの天候に恵まれたのは今日だけなので、2016年涸沢の紅葉のベストシーズンはもしかして今日なのかもしれません。
夏に登った時はまだ新緑が美しかった北穂も今ではすっかり紅葉して美しい姿になっています。昨年は落葉した木々が多くてどちらかというと木の枝が目立っていたのですが今年はちゃんと葉っぱが付いていて見ごたえがあります。
少し角度を変えて撮ってみました。
この位置だと涸沢全体が見渡せてなかなかいい眺めになります。
雲が出始めていて快晴というわけではありません。実際、写真には写っていない部分ではすでに雲に覆われていて、この青空があとどれくらいもつのか時間の問題ということになります。それでもすでに今回の登山の目的の半分以上を達成できましたのでありがたく感じます。
こちらは蝶ヶ岳方面です。
パッと見た感じだとまだまだ紅葉には早いように感じます。
そういえば蝶ヶ岳の稜線はしばらくご無沙汰しています。来シーズンには足を運んでみようかな、なんて思いながら見ています。
吊尾根方面は草紅葉が中心なのか枯れているイメージがあります。お前はもう枯れている。いやよくわかりませんが、それよりも万年雪がないという事実のほうが衝撃的であります。
さて、一通り紅葉を堪能したら稜線に上がることにします。
ただし明日から再び天候が崩れることがわかっていますので、行程に選択肢を設けます。
雨が降るようならばそのまま涸沢に下山。曇りであれば予定どおり重太郎新道を通り岳沢に下山。全ては明日の天候により判断することにします。
テントを撤収します。昨日雨に濡れていたテントもすっかり乾いています。これが濡れたテントというのは重くなってしまい余計負担になるので、そういう意味でもこの時間だけでも晴れてくれて感謝です。
さあ稜線に向けて出発です。
記事は第2部へ続きます。
第2部はこちら
Copylight 2015-2016 Myclimbing Report All Right Reserved.