夏の穂高連峰縦走2016(第1部)
いろいろ情報をチェックしていますが、穂高の峰々はすっかり夏山になっているようです。
今年も夏の穂高連峰を縦走する日がきました。天候はあまり期待していなかったのですが、山の天気は違いますね。実際は昨年よりもコンディションは良かったです。
07時44分
沢渡駐車場で結構仮眠したので上高地到着は遅くなりました。この時期でしたら始発は5時10分というのがあるので、5時30分過ぎには上高地に到着することができます。ですが、今日は涸沢までの行程だというのと、仮眠は取っていますが夜通し運転してきているので無理できないこともあり、登山にしては出発はゆっくりです。
岳沢や奥穂高岳が少し霞んでいます。予報通り大気の状態が安定していないのかもしれませんね。
こうやって見てみるとすっかり夏山になっています。もともと雪が少なかったのですが、それにも増して「雪どこ行った?」っていう状態です。いつもなら残雪と新緑のコントラストが美しいのですが・・・
10時10分
横尾大橋が登山の主発点。
ここで朝食を食べ、涸沢までのいつもの道のりを進んで行くことにします。登山者は皆、目が生き生きしています。「さあ、登るぞ」といった意気込みで軽やかに進んでいます。
私もゆっくり進んで行くことにします。毎度のこと、出だしはあえてゆっくり進んでいき体力を温存させます。登りはじめで体力がありふれているからといって飛ばしすぎると最終的にはバテてしまうのは過去の教訓から分かっていますので体力の使い方をコントロールします。
11時04分
本谷橋に到着しました。
今年は5月の連休後にすでに橋がかかっていました。この時期はすっかり緑に覆われていつもの休憩スポットの様子でした。
いつもながら登山者はここで休憩したり軽食を作ったりしています。今日は薄曇りなのでどこにいても川の涼しいせせらぎを聞きながらリラックスできていたのですが、しばらくしたら直射日光が照りつけるようになりましたので早々に出発することにします。
12時01分
写真の箇所は6月半ばに崩落があって一時通行困難だった箇所です。
山荘スタッフの尽力によって復旧され、その仕事の素晴らしさが各方面から聞こえてきましたが、改めて復旧箇所を歩いてみると1ヶ月前に崩落があったとは思えないほどしっかり石組みされていて、スタッフの方々の仕事の素晴らしさに感激しました。
もちろん上の方を見上げてみると、いつ岩が落ちてきてもおかしくない状況ですが、なんとなく安心して歩くことができました。
12時20分
さあ、穂高の峰々が見えてきました。そして驚異的な雪の少なさを目の当たりにしました。
今日は湿度が多いいんですね。ここでも穂高の峰々が霞んで見えています。さてさてこの絵が見えてからが長いというのは身にしみて分かっています。体力を温存しているとはいえ、さすがにここまでくると徐々に疲れが出始めます。
12時30分
例年だとこの近辺から雪上を歩くのですが今年は全く雪の姿がないです。
ちょうど良い木陰があったので、座って少し休憩します。あともう少しなので頑張れば小屋まで行けるのですが、時間的にも余裕がありますので急ぐ必要もなし、休憩して体力を回復させます。
今日は天気が微妙です。雲が多いのでずっと直射日光が照りつけるということはありません。日が陰ると体力的には多少楽ではありますがなんていうか夏山らしさがないかもしれません。まあこれも夏山らしさと言えるのでしょうか。
13時11分
涸沢到着。
昨年はテントサイトはほぼ雪の下でしたが、今年はテントサイトに雪はありません。この調子じゃ正面に見える万年雪も無くなってしまうのでは?と危惧するほど。
今日は行動の開始がゆっくりだったので、到着もそれなりの時間になりました。まあ、想定内のことなので全く問題無し。
涸沢と一言でいっても広大です。写真の位置から今日の宿泊先である涸沢小屋までは意外に距離があったりします。しかも、少し登ったところに小屋があるので、この小屋の階段が意外にきつかったりします。
13時39分
小屋の受付をして着替えをして一通り済ませたら、さあお楽しみの生ビール!
汗かきながら必死で登ってきて、しかも喉もカラカラな状態で、そしてこの穂高の絶景を眺めながらの生ビール、最高です。もう一度言います。「最高です」 大衆居酒屋で飲む生ビールと比べると倍近いお値段ですがそれだけの価値はあります。いやお値段以上の価値があると思います。
お値段以上ニ○リ、いやよくわからないですが。
思わず生ビールお代わりしてしまいました。生ビール飲んでカレーを食べてくつろいでいると、中学生の子たちが奥穂から降りてきました。皆視線がカレーとビールに・・・ すまぬ学生よ、よくないものを見せてしまった。
そういえば宿泊の予約をするときに「相部屋になりますがよろしいですか」と念をおされました。いや、山小屋というのはそういうものだと思っていますから全然問題ないのですが、もしかして旅館か何かと勘違いしている人が多いのでしょうか。
今日は大部屋でした。大部屋とは言っても女性用のスペースはカーテンで仕切られていてプライバシーにも配慮されています。
さて、明日に備えてゆっくりと就寝します。明日が一番の核心部分です。
05時58分
朝5時半からの朝食を終え、外に出てみると完璧とは言えないものの青空。昨年は雨に降られてしまいギリギリまでルート変更を検討していたのですが、今日はもちろん予定通りのルートを進むことにします。
まずは北穂高岳。そして稜線を歩き涸沢岳、穂高岳山荘に降りて宿泊。
この時期ですので天候の急変が心配です。なるべくなら午後一番には穂高岳山荘に到着したいのですが無理してもいけませんので自分のペースを見極めながら登って行くことにします。
06時03分
晴れているとはいえ霧がかなり上がってきています。
全く視界がなくなるというわけではありません。さて、この後天気はどのように変わっていくのでしょうか。山荘の天気予報によると「曇り一時晴れ」と言う予報になっていました。ということで、あまり期待はしていませんがせっかくなら広大な稜線からの眺めを見たいものです。
06時35分
朝一番で北穂高岳の登りですので、わかってはいてもキツイです。スローテンポで登ります。ちょっと急ぐとすぐに息が上がってしまいます。
さて、気がつけば霧は晴れ真夏の青空と穂高の峰々が姿を見せていました。こんなに天気が良いとは思ってもいませんでしたので、ちょっと感激です。新緑が眩しいです。
ザイテングラートに目をやるとまだ時間が早いせいか、登山者は誰もいないように見えます。珍しいですね。こちらの(北穂)の登山道は結構登山者がいます。上の方を見上げると団体がいるのも見えます。
07時02分
先回きた5月連休後はまだまだ全てが雪の下でしたが、たった2ヶ月経っただけでここまで青々としてしまうのですから、生命の力強さというのは素晴らしいものですね。
空の青と新緑のコントラストが美しいです。
07時25分
さて、涸沢から北穂高岳に登る夏道は写真の一枚岩を境に様子が一変します。ここを登りきり、さらに梯子を登ると、今度は岩場の直登になります。場所によってはきちんと三点確保をしながら登らないと危険な箇所もあります。
写真の一枚岩は自分のイメージではもっと垂直に近かったのですが、改めて見てみると想定よりも寝ていました。しかも岩が切ってあったり、アンカーボルトが打ち込まれたりしていて自分の中でのハードルが下がったような気がしました。
07時31分
稜線なら鎖で済まされていただろう箇所にご丁寧に梯子がかけられています。ま、当然ながら梯子の方が助かるわけで、ありがたく使わせていただきます。
ここはハイシーズンは渋滞の発生地帯でもあります。幸いにも今日はちょうど誰もいないタイミングで来れましたので気を使う必要はありませんでした。
07時33分
鎖と梯子を登り終えると穂高の稜線がいい感じで見渡せるようになります。だいぶ標高が上がってきたのがわかります。
疲れやすくなってきているのがわかります。北穂高岳はここからが勝負所ですので気を引き締めて登って行くことにします。
08時10分
ガレ場はバランス感覚が試されます。よく見ると登山者が通った場所は少し色が違っているので見分けがつきますが、実際は次どこに足を置けばいいか瞬時に判断しなければなりません。考えている時間などないというのが本音です。
先行者を見ると、「ああ、あの岩を登って行くんだな」というのがわかります。さすがは名だたる穂高の名峰。そう簡単には登らせてくれません。
08時46分
北穂分岐に到着です。
奥穂高岳、北穂高岳、涸沢の3方に分岐します。
まずは北穂高岳方面へ行き、北穂高小屋で休憩することにします。時間的にはここから20分もかからないで行ける距離です。滑りやすい一枚岩やザレ場が多いので意外に気をぬくことができません。慎重に進みます。
08時49分
この写真も今年の雪の少なさを象徴しています。
例年ならこの部分はまだ雪渓に覆われていて、アイゼンがなくても通れるように山荘の方が雪を切ってくれています。ですが今年はすでに雪渓はなく(名残はありますが)普通に歩いていけます。
こんなこともあるんだと思いながら、あとわずかな道のりを頑張って登っていきます。比較的登山者が多いです。皆必死になって山頂を目指しています。
09時00分
北穂高岳登頂。
最初の山に登頂しました。
少し雲が出ていますが稜線を見渡すことができます。昨年みたいに視界なしか? と思っていたのですが想像以上に天候が良くて感激です。
夏山らしい良い写真が撮れました。
さて、これでひとまず稜線に出ました。これからしばらくの間は穂高の稜線の縦走になります。縦走に備えてまずは北穂高小屋で一休みすることにします。
記事は第2部へ続きます。
第2部はこちら
2016年7月21〜22日
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