私の登山記録

冬の西穂2017年12月15日

 11時38分
初日に快晴なのはどれくらい久しぶりなのでしょうか。
今日は中央道から長野道に分岐してしばらく走ったあたりから真っ白な穂高の雄大な姿が目に飛び込んできました。
そうなんです。長野道の緑湖サービスエリアを過ぎた辺りから見える雄大な山岳の中には穂高の名峰が見えるんです。

ロープウェイの終点である新穂高口駅を降りると笠ヶ岳の美しい稜線が飛び込んできました。観光客も素晴らしい景色を見て歓喜しています。






11時42分
前回来た時より一層雪が積もったようです。
今回、登るときは夏ルートでしたが今日ルートの付け替えをしたようで、下山時は冬ルートになっていました。
冬ルートはこの小屋の横を下って行きます。小屋の横を降りていくようになると本格的な冬山シーズンになったと感じます。






11時46分
雪の状況はサラサラとした乾いた雪です。こういう状況だと多少歩きにくいです。
それでもたくさんの登山者が歩いたおかげでトレースはしっかりと付いていますし、アイゼンの刃がしっかりと効きますので全く問題はありません。






12時02分
そして見えて来ました!西穂高岳の稜線。
美しいですね。現時点ではコンディションとして最高です。「1日ずれていたらな・・・」なんて思いながら眺めます。

今日の気圧配置は北アルプスの真上に高気圧が張り出している状態。まさに絶好の登山日和です。この時期にこういった好天に恵まれるのは宝くじに当たるようなものです。まあこの姿を見れただけでも前後賞といった感じでしょうか。
稜線につくことにはガスが出てくるだろうな、なんて予想しながら登って行きます。






12時08分
夏ルートと冬ルートの分岐点です。
すでに、冬ルートへの変更の準備がなされています。冬ルートの方が距離にしては短くなるのでしょう、冬ルートで登った方が時間が早くなります。
先ほども書きましたが下山時は冬ルートでした。まだ変更したばかりでトレースも少なく歩きにくかったのですが、これからたくさんの登山者が行き来することによって確実な道になっていくでしょう。






12時36分
山荘直下の急登に差し掛かります。
ここはいつきても大変です。ですがここまでくれば山荘まであと少しなので逆に力が湧いて来ます。
思ったより晴天が続いているのでこの部分でも美しい写真が撮れました。






12時48分
山荘到着。
すぐ横を見ると雪面にウサギの足跡が残っています。姿は見えないけどここにも生き物が暮らしているんだなというのがわかります。遠くには焼岳や乗鞍岳も見えていて、とにかく最高の条件になっています。






13時28分
小屋での軽食・休憩を終えて外へ出て見ると、岐阜県警の山岳救助隊が搬送訓練をしていました。
登ってくるとき、独標近辺にヘリコプターが頻繁に飛び回っており、山荘に到着したときには県警の方がたくさんいたので、思わず山荘スタッフに「事故ですか?訓練ですか?」って聞いてしまいました。ヘリコプターを使った訓練だとのことで、こういう訓練を重ねてくださる救助隊や遭対協の方々に改めて感謝の気持ちを表すと同時にお世話にならないように気を引き締めないとと思いを新たにします。






13時36分
案の定上空には雲が出始めていますがそれでも厳冬期の貴重な晴れ間ですから、初日に稜線に出ることにします。
風も穏やかで雪も吹き溜まり以外は締まっていて歩きやすいです。






13時37分
笠ヶ岳の稜線がよく見えています。
初日でここまで見れるのはあまりないです。
明日は低気圧の接近により荒れた天候になるというのはわかっていますので、今日のうちに稜線からの眺めを味わうことにします。






13時50分
丸山登頂。
今日のような条件であれば、ここまでなら問題はありません。雪山デビューでも大丈夫だと思われます。

さて、時間は午後2時。本来なら今日のうちに独標まで登った方が良いのですが、余裕を見て往復2.5時間の行程を考えると山荘に戻るのは4時半になる計算になります。
少し考えましたが、今日は見上げるだけにしておきます。






西穂というとこの景色が定番ですね。
この位置からだと第7峰までしか見えませんが(場所によっては一番左側に主峰が見えます)、それでも白く雪化粧をした峰々は神々しいです。
今シーズンは何回主峰に立てるでしょうか。






しばらく眺めていると麓は雲海で覆われて来ました。
こういう景色を見ると雲の上の高いところにいるんだなと実感します。






大正池はひっそりと静まり返っているように見えます。
上高地は閉山したあとは歩いていくしかないので、ごく限られた人した立ち入りません。それでも近年はスノーハイクで冬季の上高地に向かう人が多いのだとか。






16時31分
夕方になると雲が抜けて来ました。もしかしてとは思ったのですが、綺麗な夕日になっているではありませんか! ま、同時に翌日荒れるというサインでもあるのですが・・・

それにしても穂高、しかも冬季に夕日が見られたのはほとんどないので(おそらく冬季で夕日を見られたのは2回目です)これはこれで貴重な機会です。






16時34分
こんな美しい夕日は下界ではなかなか経験することはできないでしょう。
空が赤く燃え上がっています。

太陽が完全に沈んだあとは、飛騨の街灯りが遥か遠方に見えるようになりました。そういえばこの時間に麓の町まで見えたことはないので新たな発見でした。
時々空が光ったように思えたので何かなと思っていたのですが、今日は流星群が見られるとのことでしたので流れ星だったのですね。あんなに明るいとはびっくりです。
テント泊の方に翌日聞いたところ、夜11時ごろまでは星空や流星が見られたとのことでした。






08時22分
翌朝は予報通り荒天。
私は冬山のカテゴリーとして「楽しむ登山」と「訓練登山」の二種に分けています。
昨日は天候も良く楽しむ登山になりましたが、今日は普通ならキャンセルして下山するような天候ですから訓練登山に切り替わります。もちろん、自分の限界を超えた訓練登山はしません。その時点で中止します。

ただし今日はそんなに風も強くなく視界もある方なので結果的にはごく普通に独標まで上り下りできました。






08時44分
丸山を超えて先を行きます。
想像以上に視界があるので安心します。風も思ったほど強くなく、雪の状態も昨日の締まった雪の上にパウダーが乗っている程度ですから全く問題ありません。周囲の景色が見れないのが残念です。でも訓練登山だから問題ありません。






09時29分
第12峰近くまでくると独標の姿が見えるようになりました。岩は完全に凍結していてトレースも消えています。なかなか手応えがありそうでワクワクしてきます。この岩と雪のミックス状態を登っていく感覚、懐かしいです。






09時34分
ついに独標直下に来ました。
さあ!ラストスパートです。独標の直下は吹き溜まりになることが多く、キックステップで蹴り込んでいかなければならないことが多いので覚悟していたのですが、降った雪の量が少ないからかあまり吹き溜まりになっておらず、拍子抜けしてしまいました。

岩は凍っているのでホールドできる場所は限られています。鎖を経由して最後の斜面は締まった雪面の上にパウダーが軽く乗っている状況で難易度は「低+」といったところでしょうか。ピッケルもアイゼンもガンガン刺さります。あまり訓練にはならないですね。






09時43分
西穂高岳独標登頂。
残念ながら周囲は何も見えません。夕方になるともっと荒れてくるということで、ロープウェイの運行が心配でしたので、今日はここで中止にして早めに下山することにします。


昨日と今日ではまるで山のコンディションが異なりました。それが冬山の現実です。

さあ、まだシーズンは始まったばかりです。今年は例年よりも寒くて雪が多いと聞いています。穂高の峰々はどんな姿を見せてくれるでしょうか。



※冬山の計画、当日の天候による撤退等の判断はご自身の経験・技術等により判断してください。


2017年12月15〜16日




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